ぜひお読みいただき、納得して使っていただきたいと思います。
元来魚たちは、絶妙なバランスで成り立つ「自然」の中で不自由なく生きています。
魚を飼う、養殖する ということは、人間の都合によって魚を自然環境から切り離し、
その一生を狭い水槽に閉じ込めてしまうということです。
それならば、せめて美味しく栄養のある食事と良い住環境を与え、健康に過ごさせてやりたい。
私たちのエサは「魚達にとって良いもの」でありたいし、それは飼育する人間にも使いやすいものになると思っています。
なるべく自然のサイクルに近くなるように、ある部分ではそれ以上の素晴らしい性質をもったエサを提供していきます。
「エサ」の影響範囲は ①お魚の栄養 ②水槽の水質 であると考え、
これらの要件を満たしたエサを目指します。
美味しいエサであるために
「美味しい」と感じるメカニズムの重要な要素は、「アミノ酸」です。
タンパク質を構成するアミノ酸。アミノ酸が結合した姿だからといって、 タンパク質がたくさん配合されていれば「美味しい」かというと、そうではありません。 美味しさを感じるには、アミノ酸の状態(遊離アミノ酸)でなければいけないのです。
ご存じの通り、魚達が一番好きなのは活餌です。動植物は、その体内にタンパク質になっていない遊離アミノ酸を たくさん含んでいます。活餌の動きに心惹かれ、食べるとこれが美味しい!わけです。
私たちは独自の原料・製法でこの遊離アミノ酸を従来の飼料よりも豊富に配合しました。給餌した瞬間から美味しそうなアミノ酸が漂い、 優れた嗜好性を発揮します。
優れた栄養バランスの実現
自然に生息する魚たちは、強く美しい体をしています。つまり、魚たちは自然の中で食べているものから必要な栄養を摂り、 自ら強く美しく成長できているのです。
では水槽の中の魚達に与える配合飼料はどうあるべきかというと、やはり自然の中で食べられるものから得られる栄養素を再現もしくは より豊富に与えてあげるべきであると考えています。
魚は摂ったエサを自分の体の中で必要な物質に代謝変換(生合成)していますが、しかし必ず必要でありながら生合成でつくることが できない栄養素もあり、これを「必須栄養素」といいます。したがって、配合飼料を作るときには、この必須栄養素をいかに組み込み、 いかに摂らせるかを考えなければなりません。
必須栄養素のうち、タンパク質、ビタミン、ミネラル等はごく簡単に配合することができますが、脂肪の中に含まれるリノール酸(不飽和脂肪酸)や、 特にEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)は高度不飽和脂肪酸と呼ばれるものであって、魚にとって正常な発育、成長、成熟、 産卵(卵の質)、その魚の個性(色素、特長)の引き出しなど、非常に重要ないわゆるホルモンのような働きをする物質に代謝されます。
EPA・DHAは魚にとって「必須脂肪酸」であり、不足すると正常な発育、成長ができなくなり、やがて死亡しますが、 このEPA・DHAを満足に組み込むことはコストや製法の面で非常に難しく、多くの配合飼料では不足していると考えており、 私たちはこの問題をクリアするため原料・製法にこだわり、当社従来品の10倍もの配合に成功した画期的な商品群を揃えました。
粒形状およびその保持性と、消化の良さを両立し綺麗な水を維持する
自然界での魚たちの生活環境では、水がどんどん入れ替わることがほとんどで水質の変化は非常に緩やかです。 しかし、人間が飼育する水槽ではろ過システムがあるにせよその水量は数L~数百Lくらいのものであり、水質は容易く変化します。 そしてその水質の変化の一番の要因はエサであり、食べ残しとフンの問題であると考えられます。
配合飼料を作るときには、その形を作るための粘結剤が必要です。多くのメーカーの配合飼料ではこの粘結剤に必ずといってよいほど小麦粉類が使われていますが、 私たちの飼料は小麦粉や人工的な粘結剤などは一切使用しません。これらに代わる機能として特殊な天然の海藻を用い、さらに特殊な製造方法により配合飼料を作ることに成功しました。 小麦粉を使用せずとも、造粒方法の工夫や粒形状の工夫、原材料の配合によって、水中でばらばらに崩れ散りにくい特性と良好な消化を両立することができました。
なぜ、「どじょう養殖研究所」が上述のような目指す姿にこだわって配合飼料を作っているのか―
企業概要のページで述べているとおり、私たちの事業の始まりは「どじょうの養殖」からでした。
日本固有のどじょうは現在絶滅の危機に瀕しており、特別天然記念物のトキのエサとしても国産で賄うのが困難な状態です。
これは言うまでもなく、都市計画等によるどじょうが生息できる自然環境自体の減少や、農業での農薬使用の拡大等、総じて人間活動が原因です。
そんなどじょうを、日本で唯一と言えるレベルの劇的な収量で養殖する技術を開発するなかで、どうしても必要だったのが
「優れた嗜好性」と「消化・吸収に優れ、健全なフンで水を汚さない」という特性を備えた配合飼料でした。
どじょうという魚は、ペットとして飼育する観賞魚などとは比べ物にならないくらいストレスに敏感な魚です。
特に底土の土質と水質には敏感で、自分たちのフンで底土と水質が悪くなるのを嫌って数日ごとに転々と移動し活動域を変えるような性質をもっているほどです。
そんな気難しいどじょうを、自然では考えられないレベルの密度で養殖をするにあたって、彼らの食べ残しとフンによる水質の悪化は
極めて重大な問題であり、「優れた嗜好性で食べ残さない」「フンで土と水を汚さない」飼料である必要がありました。しかしながら当時流通していた配合飼料で、
私たちとどじょうが納得できるものはありませんでした。
”無ければ、作るしかない”
こういった背景から、私たちの配合飼料は開発されました。
私たちの飼料は、かつてトキが美しい水田でどじょうを獲っていたような豊かな自然環境と、そこにたくさん生息していた気難しいどじょう達との関係に
着想を得て作り上げてきたものなのです。